ゼリー状の文字列

思った事を書き連ねます。

結局のところ、インターネットではどの程度利用者を特定できるのか?

f:id:michiru77:20140410011015j:plain

今さらですが、わりと聞かれる事が多いので書いておきます。
インターネットの匿名性は果たしてどの程度なのでしょうか。

最初に、、特定する手段が無いケース

当然(?)他人の契約のもとで通信されると特定の手段はありません。
・盗んだ携帯電話
・他人のwi-fi アクセスポイント

などです。もちろん、これはインターネット的に、という意味であって、監視カメラに写っていたとか、そのたぐいの別の要因は考慮していません。

では以下から本題。

IPアドレス

一度は聞いたことがあるかもしれません。教科書なんかでは、インターネットにおける住所と表現されることが多いようです。名前のとおりですね。

利用者を特定する足がかりとなるのが、このIPアドレスです。

IPアドレスは割り当てを統括している団体がいます(日本ならJPNIC)。
インターネットサービスプロバイダ(ISP)はJPNICからIPアドレスの割り当てを受け、さらにそれをエンドユーザに割り当てています。

whoisという言葉をご存知でしょうか?
IPアドレスの情報を記録しているデータベースがあります。下記にアクセスして、182.22.59.229を検索してみてください。

JPNIC Whois Gateway

yahooと表示されましたよね。
ただし、このDBはあくまでIPアドレスを管理している団体を示すものです。
個人の特定はできません(個人名で登録している人も居ますが)。
個人が利用しているIPアドレスは大抵、ISP名義になっているはずです。

固定割り当てと動的割り当て

IPアドレスは固定のものと動的(頻繁に変わる、もしくは固定されることを保証していない)ものがあります。
個人向けのプロバイダはたいてい動的に割り当てます。固定アドレスはサーバ運用などをする場合を想定してオプションで用意される事が多いようです。IPアドレスは有限なので、利用効率のよい動的アドレスのほうが自然と原価が安くなります。(IPv6はそうでもないか)

例えば貴方が2chに犯罪予告を書き込んだとしましょう。その時に利用していたIPアドレスは、次の瞬間には別のアドレスになっているかもしれません。
ですが、ISPには割り当ての記録が残っています。PPPoE系のサービス(Fletsなど)なら、おそらくはPPPアカウントとアドレスのひも付きが記録されます。DHCP系(AUひかりなど)ならば、回線特有のIDやホームルータのMACアドレスなどとIPアドレスのひもづきが記録されます。
これらの記録をどれくらいの期間保持しているかは、ISPによって変わります。まじめにやっているところならば数年間は保持するでしょうし、いいかげんなところは数日かもしれません。

NAT

IPアドレスは、基本的に1契約につきひとつ割り当てられます。
ですが貴方の家では複数の端末が同時にインターネットを
しているはずです。これはひとつのIPアドレスをシェアする仕組み(NAT)のおかげです。あなたが使っているブロードバンドルータが、これを実現してくれています。

IPアドレスがシェアされているので、たとえISPであっても、貴方の家に住んでいる誰が2chにこんな書き込みをしたのか?を知る手段はほぼありません。どの端末からのアクセスも、同じIPアドレスから来た通信にしか見えないからです。

CGN

現在主流のIPv4アドレスは枯渇しかけています(JPNICの在庫は既に枯渇)。
IPアドレスを節約するために、NATをISP側でやってしまうのがCareer Grade NAT(CGN)です。しっかり記録をとっていれば利用者の特定(正確には、契約の特定)は可能です。しかし、通常のアドレスを割り当てるサービスよりも記録せねばならない情報が膨大になり、より複雑化します。特定に必要な材料も細かいものになってくるでしょう(このアドレスで、何時何分にどこに通信した といったレベルで必要かもしれない)。

Proxy

串などと呼ばれているもの。Web ProxyならWebのデータを貴方のかわりに取ってきてくれるものです。
本気で匿名性を意識して設定されたProxyからだと、アクセスされたサーバから見ても、ProxyのIPアドレスからのアクセスにしか見えないため、特定はかなり困難になります。ただし、Proxy側にはしっかりと記録が残ります。といっても、Proxyは個人でも用意につくれてしまいますし、海外のProxyなどを使われたり、多段にProxyされるとかなり特定は厳しくなります。

モバイル

ドコモのSPモードなど、モバイル系の通信についてはSIMカードという個人情報と直接ひもづいた仕組みがあるため、特定はしやすくなっています。