ゼリー状の文字列

思った事を書き連ねます。

インターネット回線の速度はなんでスペック通り出ないのか。ベストエフォートって?

これまた聞かれることが多いので書いておきます。

ISP(OCNなど)や回線事業者(NTT東西など)のサービス紹介ページをみると、以下のような表記がされているかと思います。

「最大200Mbps」
「概ね1Gbps」
「1Gbps(ベストエフォート)」

これは経路上の理論的な最大値のことです。実測とは無縁の数値なのです。

ベストエフォートについては後述するとして。。例えば1,000人のユーザが一度に通信したとしましょう。
全員が1Gbpsの帯域をフルに利用できるよう設備を設計すると、1,000Gbpsの通信設備を用意する必要があります。そんな大規模な設備を必要とするサービスをコンシューマー向けに売っても、価格面で無理が出てしまいます。そのため、極端な話ですが、例として1000人のうちあなたしか通信していなかったら、きっと1Gbpsの速度が出ますよ。というポリシーでサービスを提供するわけです。

事業者が設備をどう構築するかは、各事業者のポリシーによって違います。
例えば1Gbpsの設備を使ったとして、その1Gbpsに何人のユーザをつめこむか?をどう考えるかなのです。

総務省が出している、我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算によると、日本のブロードバンド通信は2013年11月時点で1契約あたり平均72.2kbpsとあります。年々増えています。
あれ?少なくね?と思うかもしれませんが、当然のごとくみんながみんな、常に通信しているわけではありませんから、自ずとこれくらいになります。

事業者はこういったパブリックな統計データと、自社の統計データを組み合わせて設備ポリシーを考えるはずです。1Gbpsの設備に月400万円のコストがかかり、サービスを月1,000円で出そうとすると、原価だけで見ても4,000ユーザ詰め込む必要があります。その場合、1ユーザあたりの帯域は250kbpsになります。原価でこれです。

また、通信にはピークタイムというものがあります。19時から23時くらいの通信量は深夜などと比べると数倍になったりします。その他にも、P2Pなどで帯域を専有してしまうユーザや、映像配信サービスの流行などによって事業者の設備増強が追いつかない、といった様々な理由で速度が慢性的に遅くなることが有ります。

ベストエフォート型

ベストエフォート - Wikipediaにもありますが、簡単に言うと、努力はするけど保証はしませんということです。それは上記で述べたように1Gbpsというのは理論値であり、実効速度は各事業者の設備状況に依存するものだからです。

当然、じゃあ実効速度を出せよ、と思われるかもしれれません。しかし、事業者からみても、個々のユーザが今どれだけの速度が出るかわからないのです。あなたの隣人がものすごい通信をしていたら、その影響をうけて速度が低下することもあります。なので、分かりやすく規格値を出しているわけですが、それを良い事にあたかも1Gbpsの帯域が保証されているような広告をうったり、販売店などで誇大説明をしていたりという事業者も存在します。

蛇足ですが、ベストエフォート型の対義語にギャランティ型というものがあります。
こちらは1Gbpsだったら、1Gbps常に通信できることを保証するサービスです。これは大企業やISP同士のトランジットなどで利用されており、価格はケタ違いです。

じゃあどうやって選べばいいの?

上述した各事業者の設備ポリシーは非公開のようです。
そのため、実際使っているユーザに体感速度を聞くくらいしか手がありません。
また、やはり安いサービスはそれ相応の品質であることが多いようです。商売ですからね。